2024年に放送されたアニメ「烏は主を選ばない」。
Amazonprimeで観ました。
同作品は阿部智里さんの人気小説シリーズ「八咫烏シリーズ」を原作とした作品です。
後宮の雰囲気をベースにしてますが、どこか和も感じる独特の世界観と美しい映像表現。
そして緻密な人間(烏)ドラマが重なり合い、とても魅力的な作品です。
アニメの絵の美しさはもちろん、ストーリー展開やただの「後宮もの」ではなく、人間の愚かさも見せてくれるアニメでした。
本記事では、実際に感じた魅力や見どころを、ネタバレ含みつつご紹介していきます。
美しい世界観とストーリー、魅力的な登場人物
本作は、山に住む八咫烏の一族を中心に展開される物語。
彼らは人の姿に変化し、国家のような社会を築いて暮らしています。
舞台は「山内(やまうち)」と呼ばれる閉ざされた世界。
そこには厳格な序列やしきたりが存在し、権力争いや陰謀が繰り広げられます。
物語の舞台である後宮は豪華絢爛でありながら、どこか冷たく張り詰めた空気をまとっています。
そこに集う後宮の妃たち。
「烏は主を選ばない」というタイトルは、ただのファンタジーではなく、「主従関係」「忠誠心」「生き方の選択」といった深いテーマを示しているのが特徴です。
キャラクターの魅力
登場人物は皆、個性豊かで、それぞれにしっかりとした背景があります。
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雪哉(せつや)
冷静で聡明な一方、心の奥に強い理想を秘めています。
私が最も感情移入しやすいキャラクターで、彼目線で物語は始まります。 -
若宮(わかみや)
次期当主候補として注目される存在。物語の主人公。
傲慢に見えるところもありますが、その裏には孤独や責任感が隠されています。
物語が進むにつれ、彼の人間性が深掘りされていくのが面白いポイントです。
とりわけ若宮の存在感は際立っています -
後宮の妃たちと女性キャラクターたち
八咫烏の世界では、女性の立場や役割も重要です。
権力の駆け引きや結婚をめぐる選択が描かれ、「誰を選び、誰に仕えるのか」というテーマをさらに際立たせています。
妃たちの複雑な感情や立場も丁寧に描かれており、一人ひとりの動機に説得力があります。
アニメを見ていると、キャラクターたちの心情や立場に思わず感情移入してしまいます。
そこに渦巻く権力争いや私利私欲にまみれた「無垢」と言う名の悪意。
人(烏)の「欲」とは恐い~、と素直に思いました。
後宮で繰り広げられる妃たちの策略
舞台は皇帝の周囲に集められた妃たちの世界。
表向きは華やかで優美な生活に見えますが、その裏側では地位や権力をめぐる熾烈な争いが繰り広げられています。
「誰が皇帝の寵愛を受けるのか」「どの一族が影響力を強めるのか」
それぞれの思惑が絡み合い、読み進めるほどに後宮という場所の複雑さが浮き彫りになります。
華やかさと陰謀が同居する緊張感は、本作の大きな見どころでしょう。
誰が味方で敵なのか、物語の最後まで明かされません。
観ている私の想像力が大いに働き、ああかな、こうかな。と考えを巡らせながらみてました。
ハラハラドキドキというよりは、じっとりと少しずつ迫ってきてる感じがしました。
推理要素が光る物語構成
単なるファンタジー、後宮ものに留まらないのが、この作品の面白さです。
数々の事件が物語を動かしていきます。
その解決の過程において、主人公や周囲の人物が推理をめぐらし、少しずつ真相に近づいていきます。
ミステリー的な要素があることで、最後まで飽きさせない仕掛けになっています。
と、言うかこれはミステリー作品です。
推理物語です。といっても過言ではありません。
終盤になるにつれて、登場人物たちの関係性や過去の秘密が少しずつ明らかになっていきます。
とにかく大・どんでん返しが待ってます。
観ていた中で一番応援していたのに、えー!!っていう展開にめまいがしそうでした。
これって策略?それとも思いつき?
なんなの?サイコパス?
それまでの出来事が一気につながり、驚くべき真実が明らかになります。
途中敷かれていく伏線が、一気に回収される様は見事としか言いようがありません。
「あのときの出来事にはこういう意味があったのか」と何度も唸らされました。
単なる意外性だけでなく、物語全体を深く理解させてくれるような構成になっている点は本当にすごい!と唸るばかりです。
まとめ
『烏は主を選ばない』は、絵の美しさに支えられた幻想的な世界観と、後宮という特異な舞台で繰り広げられる人間模様、さらに推理要素を盛り込んだ構成が魅力の作品です。(烏模様ですかね)
終盤のどんでん返しまで含めて、読者を存分に楽しませてくれる完成度の高い作品だと感じました。
ファンタジーとミステリーの両方を味わいたい方にとって、この作品はきっと特別なアニメになるはずです。
私自身が強く感じたのは、「誰に仕え、どう生きるか」というテーマの重さでした。
タイトルの通り、烏(=登場人物たち)は自ら主を選べない存在として描かれています。
そんな中でも若宮と雪哉の関係性は、本作の大きな見どころです。
主従関係でありながら、雪哉に対し自分に仕えることを敢えて強制しない、若宮。
二人の間にある信頼や失望は、単なるファンタジーではなく現実の人間関係にも通じるものがあります。
「自分で選ぶ」ことを尊重し、またそれを選ぶことの重要性。
万能な人はいないんだ。
みんな支えあっている。
そんなメッセージもあるのかもしれません。
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