【 ネタバレあり】韓国ドラマ『赤い袖先』感想レビュー ジュノのイ・サンが切ない

韓国ドラマ『赤い袖先』は2022年に空前のブームを巻き起こした、歴史ラブロマンスドラマ!
そんなうたい文句だったので、軽い気持ちで観てみました。
史劇だし、有名だし、泣けるらしいし——そのくらいの理由。
でも気づいたら、ソン・ドギムの言葉や選択が、自分の日常と重なって離れなくなってました。
観終わってから、しばらく何も考えられませんでした。
泣いたわけでも、声を上げたわけでもないのに、胸の奥だけがずっと痛いまま残っている。
韓国ドラマ『赤い袖先』は、そんなふうに静かに心に残る作品でした。

あらすじ

韓国ドラマ『赤い袖先』は、朝鮮王朝第22代王・正祖(チョンジョ)となるイ・サンと、宮女ソン・ドギムの愛と選択を描いた物語。

イ・サンを演じるのは2PMのジュノ(イ・ジュノ)。
孤独と責任を背負いながら王へと成長していく姿が、とにかく切ない。

ソン・ドギムを演じるのはイ・セヨン。
宮女という立場にありながら、本を読み、考え、自分の人生を自分のものとして生きようとする女性です。

王と宮女。身分も立場も違う二人は惹かれ合いながらも、簡単には一緒になれない運命に翻弄されていきます。

韓国史劇「イ・サン」とは違った切り口

同じ正祖を描いた史劇『イ・サン』も大好きだけど、『赤い袖先』はまったく別物だと感じました。

『イ・サン』が「王の物語」だとしたら、『赤い袖先』は選ばれなかった側、声を上げにくかった側の物語。

正直、最初は「また側室の話かな」と思った自分もいたけれど、観進めるほどにその考えは崩れていきました。

これは、ただの恋愛史劇じゃない。
どう生きるかを選ぼうとする女性の物語でした。

ドギムの「自由に生きたい」という願いが、胸に刺さった理由

ドギムが何度も口にする「自由に生きたい」という言葉。

観ているうちに、だんだんそれが他人事じゃなくなってきました。

好きな人がいて、求められて、必要とされる。
それは本来、幸せなことのはずなのに、
「それを選んだら、自分はどうなるんだろう?」って考えてしまう感覚。

誰かの期待に応える人生。
誰かの世界に組み込まれる生き方。

ドギムの迷いは、恋愛だけじゃなく、仕事や家族、人間関係でも感じたことのある感情そのもので、観ていて何度も胸が詰まりました。

愛しているのに、選べない。ドギムの葛藤

ドギムはイ・サンを愛していないわけじゃない。
むしろ、深く理解しているからこそ、簡単に「はい」と言えなかったんだと思います。

彼のそばに行くことは、
・自由を失うこと
・自分の人生を手放すこと
でもある。

それでも愛はある。
だから苦しい。

この「どちらも本心」という状態が、本当にリアルで、
恋愛って綺麗なだけじゃないよな…と何度も考えさせられました。

イ・サンの愛と、ドギムが望んだ愛の違い

イ・サンの愛は、とてもわかりやすい。
守りたい、幸せにしたい、そばに置きたい。

でもそれは「王である自分の世界」に彼女を迎え入れる愛。

一方で、ドギムが望んだのは、
・対等であること
・選ぶ自由があること
・愛の中でも自分でいられること

どちらが正しいとかじゃない。
ただ、噛み合わなかった。

このすれ違いが、観ていて一番しんどくて、一番辛かったです。
でもそこに美しさを感じてしまうのは、なぜでしょうか。

側室物語の中で異質だった、ドギムという存在

史劇の側室物語って、
「尽くす」「耐える」「愛されるのを待つ」
そんなイメージが強い。

でもドギムは違いました。

「愛してる」と言われるだけじゃ足りない。
守られるだけの存在にはなりたくない。

自分の意志で選び、考え、感じて生きたい。

その姿に、正直かなり救われました。

それでも…イ・サンが切なすぎる

とはいえ、観ていてずっと思ってた。

イ・サンが、あまりにも切なすぎる。

あれだけ想って、あれだけ誠実で、
それでも届かない。

王という立場がなければ、
ただの不器用で優しい男だったはずなのに。

ドギムの選択を尊いと思いながら、
同時にイ・サンの孤独に胸が痛くなる。

この作品は、誰も悪くない。

愛し合っていたのに、同じ未来を選べなかった二人。
最期にドギムがイ・サンに遺した言葉があまりにも悲しくて、胸が痛くなります。

わたしの感想

『赤い袖先』は、恋愛ドラマというより、
「どう生きるか」を突きつけられる作品でした。

誰かを愛することと、
自分を大切にすること。

その両方を同時に叶えるのが時代もありますが、こんなにも難しいんだと改めて感じました。

観終わったあと、しばらく余韻が抜けませんでした。
切なくて、静かで、でも確かに強い物語。

今と時代は変わって、立場が違えばあり得る状況。
だから刺さったのかもしれません。

同じように、
「好き」だけじゃ選べない経験をしたことがある人には、
きっと深く響く作品だと思います。

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