映画『ザ・ファブル〜宇津帆編〜』感想レビュー静かな狂気と信念がぶつかる、大人向けアクション映画

映画『ザ・ファブル〜宇津帆編〜』は、前作『ザ・ファブル~殺さない殺し屋』の世界観を引き継ぎながら、より人間の内面や“悪意”に深く踏み込んだ作品でした。

派手なアクションだけでなく、登場人物それぞれの価値観や信念が丁寧に描かれており、観終わったあともじわじわと余韻が残る一本です。

映画『ザ・ファブル〜宇津帆編〜』あらすじ(ネタバレ控えめ)

伝説の殺し屋“ファブル”こと佐藤明は、「1年間、誰も殺してはならない」というボスからの命令を守りながら、妹役の佐藤洋子と共に普通の生活を送っている。
表向きは静かな日常を過ごしている明だが、その裏では、再び危険な気配が忍び寄っていた。

ある事件をきっかけに、明の前に現れるのが、堤真一演じる謎の男・宇津帆。
彼は一見穏やかで理知的な雰囲気をまとっているが、その内側には底知れぬ闇と歪んだ価値観を抱えている人物だった。

宇津帆の存在は、徐々に明の周囲の人間関係を狂わせ、静かに、しかし確実に状況を悪化させていく。

一方、明の前には、安藤政信演じる「鈴木」や、平手友梨奈演じる佐羽ヒナコといった、強烈な個性を持つ人物たちも現れる。
それぞれが異なる目的と信念を抱えながら行動することで、事態は単純な善悪では割り切れない方向へと進んでいく。

「殺さない」という自らのルールを守り続ける明にとって、今回の敵は単なる暴力では対処できない相手だった。
人の心を巧みに操り、追い詰めていく宇津帆のやり方は、明の覚悟と信念を根底から揺さぶっていく。

そして、宇津帆が仕掛ける“静かな狂気”の行き着く先とは――。

 

相変わらず岡田准一がカッコいい、佐藤明という存在

主人公・佐藤明を演じる岡田准一さんは、本作でも安定感抜群。

相変わらずの身体能力と無駄のない動きはもちろん、感情を抑えた演技の中に、確かな意思と覚悟がにじんでいます。

多くを語らずとも、「殺さない」という自分のルールを守り抜く強さが、表情や立ち姿から自然と伝わって来ます。

その静かな説得力こそが、佐藤明というキャラクターを特別な存在にしているのだと思いました。

 

堤真一の演技が光る、底知れぬ悪・宇津帆の恐怖

本作で最も印象に残ったのは、堤真一演じる宇津帆。

派手な言動をするわけではないのに、どこか不気味で、何を考えているのかわからない、その“底の見えなさ”が、とにかく怖い!

こう言う善人面して近寄ってくるやつ、絶対いる!!と思いました。

堤真一の演技は、声のトーンや間の取り方、視線ひとつひとつが計算されていて、静かな狂気を感じさせます。

大声を出さなくても恐怖を表現できるという点で、非常に印象的な悪役でした。。

 

安藤政信演じる「鈴木」が見せる、にくい人間味

安藤政信演じる「鈴木」も、忘れがたいキャラクターのひとり。

冷静で感情を表に出さない人物でありながら、ふとした瞬間に見せる人間味がとてもにくい。

完全な悪として割り切れない、その微妙な揺らぎがあるからこそ、キャラクターにリアリティが生まれています。

敵側でありながら、どこか目が離せなくなる存在。

平手友梨奈・佐羽ヒナコの強さと凛々しい眉毛

佐羽ヒナコを演じる平手友梨奈は、とにかく存在感が強い。

特に印象的なのが、凛々しい眉毛から滲み出る意思の強さ。

視線や表情と相まって、「簡単には揺るがない人物」であることが一目で伝わってくる。

ただ個人的には、その強さが少し前に出すぎている印象も受けました。

もう少し迷いや弱さが描かれていれば、より感情移入しやすかったかもしれなかったです。
原作ではもう少し女性としてのか弱さがあって、影がある感じ。
もう少し弱さや色気が欲しい。
私としてはそんな感じです。

それでも、物語全体の緊張感を高める重要な役割を担っていることは間違いありません。

アクションだけではない、人間の闇を描いた作品

『ザ・ファブル〜宇津帆編〜』は、単なるアクション映画ではなく、
誰が本当の悪なのか、
正しさとは何なのか、
そして信念を貫くことの孤独さ――そうしたテーマが静かに描かれてます。

暴力的な描写に頼りすぎず、人間の心理や関係性で緊張感を生み出している点も面白さだと思います。

 

まとめ 大人にこそ刺さる『ザ・ファブル』続編

前作が好きだった人はもちろん、キャラクター重視の映画が好きな人にもおすすめできる作品です。

岡田准一の安定した魅力、堤真一の底知れぬ恐怖、そして脇を固める俳優陣の存在感が、作品をしっかりと支えています。

アクションの派手さや“静かな緊張感”を楽しみたい人に、ぜひおすすめの映画です。

 

 

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