韓国映画『毒親』は、社会問題を鋭く切り取ったリアルな作品。
本記事では映画の感想とともに、主演を務めた チャン・ソヒさんと カン・アンナ さんの魅力についても紹介します。
チャン・ソヒさんは韓国ではベテランの女優です。
数々のドラマに出演してますが、日本ではあまり名前は出ませんが、どんな役でも演じることが出来る、幅の広い役者さんです。
カン・アンナさんもこれから成長が楽しみな新進気鋭の女優さんです。
日本でメジャーな俳優陣でないためか観ていてまるで、実際の家庭をのぞき見しているようなドキュメンタリー感覚に引き込まれます。
物語の中心にあるのは「教育虐待」と「受験競争」。
韓国社会に深く根を下ろした問題であり、同時に日本でも無視できないテーマです。
あらすじ 親の欲望に押しつぶされる子どもたち
物語はユリ(カン・アンナ)少女の死から始まります。
一見なんの問題もない家庭。
母ヘヨン(チャン・ソヒ)は子のために最善を尽くし、子はその親の愛に応えるかのようなそんな家族。
次第にそのいびつな関係が明らかに。
少女はなぜ死んだのか。
『毒親』では、親が「子どものため」と信じて突き進む教育熱が、次第に虐待へと変わっていく過程が描かれます。
韓国では大学入試の競争が激しく、「名門大学に入ること=人生の成功」とまで考えられる社会背景があります。
そのため、子どもたちは幼い頃から塾や家庭教師に追われ、自由な時間をほとんど持てないことも少なくありません。
映画は華やかな演出を排し、家庭の食卓や勉強部屋といった日常的な場面を中心に展開。
だからこそ、観ている側は「これは映画ではなく現実かもしれない」と錯覚するほどのリアリティを感じます。
主演・チャン・ソヒ 母親役に息を吹き込むベテラン女優
母親役を演じたのは、韓国で長年活躍してきた女優 チャン・ソヒさん。
日本では知名度は高くありませんが、韓国ドラマ好きの間では“演技派女優”として評価の高い存在です。
チャン・ソヒさんはこれまで、家庭劇からサスペンスまで幅広いジャンルで活躍してきました。
本作では「子どもの将来のために」という大義名分のもと、次第に狂気に追い詰められていく母親を圧倒的な存在感で演じています。
チャン・ソヒさんの表情の変化は見どころのひとつです。
・優しく語りかける母の顔
・子どもの成績が落ちたときに見せる苛立ち
・周囲の家庭と比べて焦燥に駆られ、追い詰めていく姿
そのすべてが現実味を帯びていて、「こういう親、どこにでもいるかもしれない」と思わせます。
演技力の高さが作品全体の説得力を支えています。
注目の若手・カン・アンナ 追い込まれる子どものリアルな苦悩
子ども役を演じるのは、若手女優の カン・アンナさん。
まだ日本では名前を知る人は少ないですが、本作での存在感は圧倒的です。
カン・アンナさんは繊細な演技に定評があり、特に表情や仕草で感情を伝える力に長けています。
『毒親』では、母親の期待に応えようと必死に勉強しながらも、次第に精神的に追い込まれていく子どもをリアルに体現しています。
彼女の涙やうつろな表情を通して、教育虐待の残酷さや追い詰められてもがく子供たちを直視することになります。
特に印象的なのは、机に向かいながらも集中できず、重圧で息が詰まるシーンと、母親が頭が良くなるからと、青魚を食卓に並べて無理に勧めるシーン。
私は観ていてゾッとしました。
言葉は少ないのに、その場の緊張感が痛いほど伝わってきます。
カン・アンナさんは若手ながらも、この作品で一躍注目を浴びる可能性を秘めた女優さんだと思いました。
韓国と日本に共通する「教育虐待」
映画のテーマである「教育虐待」は、韓国だけでなく日本でも深刻化しています。
・点数や偏差値で子どもの価値を決めてしまう
・親の夢を子どもに押しつける
・学習塾や習い事で休む間もない生活を強いる
親にとっては「子どもの幸せを願う気持ち」ですが、子どもにとっては大きなプレッシャーとなり、心の健康をむしばむことがあります。
『毒親』は、この危うさを真正面から描き出します。
観終わった後に残る問い
『毒親』を観終えたとき、多くの人が胸に抱くのは「子どもの幸せとは何か?」という問いです。
受験に成功することが、果たして本当に幸せにつながるのか。
親が思う「正しい未来」と、子ども自身が望む人生は、必ずしも一致しません。
映画では、ユリの可能性を広げるため選択しを広げると言いながら、ヘヨンの「思い」を遂げるためにユリに受験勉強を強要させてたんだと思いました。
教育熱心さと教育虐待は紙一重。
でもただ辛いから。
ユリが命を落とすことになった事情はもっと違った…。
とても切なくなりました。
まとめ
韓国映画『毒親』は、派手な演出に頼らず、家庭という最も身近な場を舞台に「教育虐待」と「受験競争」の実態を描いた社会派作品です。
主演の チャン・ソヒ さんの迫真の演技と、若手女優 カン・アンナさん の繊細さが、物語に深みを与えています。
韓国だけでなく、日本の教育現場にも通じる普遍的なテーマ。
観る人に考えさせる映画です。
もし教育や家庭、そして親子の関係に関心があるなら、『毒親』は必見の一本です。
観終わった後、きっと誰かと語り合いたくなる衝撃作です。
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